MY 「ONE HUNDRED」を探して。

数十年スパンで大事にしたい、自分にとってのファッションスタイル基本アイテムの覚え書き。時々雑記。

ヴィンテージ熱の芽生え

ヴィンテージ(とはいいつつ、実際はリサイクル系古着も大量に含む)の世界にハマったのは、学生時代。

当時は今以上にお金の使い方も下手で、お祝いにと家族からいただいたお金を毎日のようにちまちまと洋服につぎ込み短期間で溶かし、めちゃめちゃ怒られたりしていた。

 

ある日、その頃よく通っていた、ジーンズなどカジュアル系の洋服を扱うお店の一角に、申し訳程度の、「ヴィンテージコーナー」のようなものができていた。

当時は今ほどにヴィンテージ熱は盛り上がっておらず、むしろ古着は人の手に渡ったものとして嫌われる傾向があったように思うから、そのコーナーも、海外仕入れの時に思いつきでちょっと面白そうなものを買い付けてきて集めました、程度のものだったけれど、自分にとってはなんとも新鮮に見えた。


そしてその中に、イヴサンローランの靴があった。

「ド」がつくほどの潔い赤に、フェラガモのヴァラに付いているような、でもそれよりも大きな布地のリボンが付いた、3cmぐらいの太ヒールパンプス。

値段は確か1900円ぐらいだったと思う。

やたらと気に入って、なけなしのお金を叩いて即決した。


そうしたら。

これがまた、会う人会う人に、

褒められた。


とはいっても、学校の狭い範囲内だったから大したものではない。

でも、しばらく話もしていなかったような同級生から、靴が素敵だと声をかけてもらったこともあった。

今にして思えば悪目立ちしていた可能性も否めないけど(むしろそうだったんじゃないかと思うけど)、当時の自分にとって、ファッションを肯定してもらったり、自分で選んで身につけているものが会話の糸口になったりするという体験は、本当に新鮮だった。


多分、あれが強烈な成功体験として自分に刻み込まれたのだと思う。

そしてちょうど、学生時代は、東京で古着の街といわれる下北沢や吉祥寺にも行きやすい場所に生活圏があった。

そんな街にも通い詰め、なけなしのお金をはたき、家族に大目玉を食らったりしながら、どんどん古着に手を出していく。

ただ、当時は今よりもっとカジュアルな、ビビッドカラーのものが好きだったので、そんなものたちは長くは着られず。

当時買ったものはもう今ほとんど手元にないのは残念だけれど、それでもあの時、暇さえあれば服を見に行っていたのは、悪い経験ではなかったなぁと思ったりもする。

そんな思いを胸に、今日も、

あの日出会ったような、

運命の一点、運命の一着を探しに、

隙間時間を見つけては古着の海を彷徨っている。