「A」:Alhambra Necklace
前回までの3つの記事で、大体、自分の好きなものたちのルーツについて振り返っていけたかなと思う。
そこでこれからは、そんな自分にとって、きっとこれからもなくてはならないだろうアイテムたちを取り上げて、愛でていこうと思う。
このブログを書くにあたって影響されている「ワンハンドレッド」という本自体がアイテムをA〜Zでまとめていることに倣って、アイテムの頭文字をA〜Zで綺麗にまとめて…などと考えていたけど、なにぶん書きたいことがとっ散らかっているので、そんな風にできるかわからず…
でもとりあえず、ファーストアイテムは、「A」からはじまる、そして思い入れのあるアイテムにしてみたいと思う。
といって挙げてみたこちら。
ベタもベタ。
何度眺めても、この上なくベーシックな形なのに、びっくりするほど整っている。
そして、中のストーンは様々あり、そのカラーで印象はだいぶ変わるけれど、どれを選んでも、その小ささからは考えられないぐらい、鮮烈な存在感があると思う。
形としては類似のものがたくさんあるけれど、やっぱり本家のものとはほんの少し違う(ように見える…ブランドパワーでそう見えるだけ?でもやっぱり違う…)。
ストーンの輝き方も。
周りを取り囲むゴールドの枠のほんのちょっとした厚みがつくる重厚感も。
ともすると脇役としてないがしろにされがちなチェーンの、埋没しすぎず主張しすぎない絶妙な太さや輝きも。
なにより枠囲みの細かいミル打ちの装飾の繊細な感じも。
このブランド、そしてこのアイテムを知ったのがいつだったかというのは、あんまり記憶にない。
例の「ワンハンドレッド」にも、「アップタウン・ガールのステートメントネックレス」として、ヴァンクリの名前は出ているのだけれど、それがきっかけで興味を持ち出した、という記憶はない。
ただ、学生時代は付録が花盛りだったのもあり、とにかく色んなファッション誌に手を出しては読み漁っていたので、きっとどこかで目にしてはいたのだろう(余談だが、当時は景表法などの問題もさほど取り上げられていなかったからか、今よりファッション誌は遥かに安く、その割に付録がかなり本格的だった。今のムック本などを眺めるとついあの時を懐かしく思い出してしまう…)。
少なくとも就職したての頃、どうしても欲しくなって、1度頑張って買ってみたことがある。
マザーオブパールの、一番小さいスウィートアルハンブラのパピヨンモチーフのブレスレットだった。
ただ、残念ながら、これはいざつけてみると、どうもしっくり来なかった。
可愛いサイズの蝶々は、ゴン太の私の腕で引っ張られ、窒息死しそうにも見える哀れな姿になってしまったのだ。
欲しいという気持ちが先走り、試着なども十分にせず、良く吟味しないで購入したからだっただろう。自分でも詰めが甘かったと思う。
それが、6年前、本当にひょんなことから、またアルハンブラとのご縁ができた。
マザーオブパールとは違うクールな感じもあるオニキスはずっと気になっていたのでもちろん嬉しさもあった。
ただ、以前の失敗が尾を引き、当時はあまり「アルハンブラが欲しい!」と望んでいた時期ではなかった。
だから正直、手に入ったときは、市価よりも大分お値打ちだったこともあり「不要になったとしてもリセールに出せばいいかな…」などというよこしまな気持ちがあったことは否めない。
その程度の熱量だったのだ。
それが、身につけてみた瞬間、気持ちが一変した。
ヴィンテージアルハンブラならではのしっかりとした存在感と、オニキスが放つ、鏡のような凜とした黒い輝き。
大きさとストーンで、これほどまでに印象が変わるのかと驚いた。
両吊りのデザインのため、首の動きでトップが回ってしまって格好悪い、というストレスも感じにくい。
そして使い始めてみると、これまた振り幅がものすごく広い。
スーツやセットアップなどのコンサバな格好にはもちろんフィットする(実際、雑誌などではこういう使い方がされることも多い気がする)し、ニットなどのきれいめカジュアルなスタイルでも意外にハマる。流石にデニムレベルまで崩した時にはもう少し抜け感あるジュエリーの方がハマりそうだけど。
一時期は本当に毎日のように身につけていた。
今はやや洋服がカジュアルなため、頻度は減っているものの、絶対にまた、今日はこのネックレスじゃなきゃ、と手に取る日が来ると確信している。
そして、一連の出来事から、同じシリーズのアイテムでも、大きさとストーン、モチーフで全く別物なのだと実感させられた(試着はちゃんとせねば…反省)。
ちなみに、このオニキスのヴィンテージアルハンブラは、社会人になってから、仕事の場で出会う女性が身につけているのを目にする機会が最も多いネックレスでもある。
アナウンサーや大学教授など、職種もバックグラウンドも様々な方々の首元に収まっていたが、どれもとてもその雰囲気に合っていて素敵だった。
今はまだ遠く及ばないけれど、いつか、大人の女性の気品と貫禄を持って、このアイテムを付けこなせることを目標に、これからも大事にしていこうと思っている。